12ステップのスタディの一覧
前の連載『ビッグブックのスタディ』ではAAの12のステップを解説しましたが、100回を超える大作となってしまいました。そこでこの連載では、ステップ1から12まで順番に、その本質をシンプルに分かりやすく伝えることを目指します。
この連載ではAA以外の12ステップも説明していきます。具体的にはAA(アルコール)、NA(薬物)・OA(食べ物)・性・AC(アダルトチルドレン・共依存)という五つの分野の12ステップ共同体のテキストを取り上げ、その内容を解説していきます。
各団体の12ステップの間には多少の違いがあります。しかし基本的な構造は共通しています。この共通構造が12ステップの「原理」と呼ばれるものです。人間はどうしても違いに目を向けてしまいがちですが、細かな違いに惑わされずに、12ステップの「原理」をつかみ取っていただきたいと願っています。
同時に、各団体の12ステップに相違が生じたのにはそれなりの理由がありますから、その理由について解説することで、それぞれの団体の12ステップへの理解が深まることを期待しています。

文中・脚注で使われている略号については表記法についてをご覧ください。また、この連載に限っては各共同体の文献に以下の略号を使っています。文献の入手方法については各ページをご覧ください:
-
- NAWB — NA, 『NA ホワイト・ブックレット』
- NABT — NA, 『ナルコティクス アノニマス』
- IWHW — NA, 『なぜ どのように 効果があるのか』
- OA12&12 — OA, 『オーバーイーターズ・アノニマスの12のステップと12の伝統』
- SLAA — SLAA, Sex and Love Addicts Anonymous
- SAA — SAA, Sex Addicts Anonymous
- SA — SA, 『セックスアホーリクス・アノニマス』
- SCA — SCA, 『セクシュアル・コンパルシブズ・アノニマス』
- LL — Tony A., The Laundry List: The ACoA Experience
- AC12 (1989) — Friends in Recovery, 『ACのための12のステップ』
- AC12 (1996) — Friends in Recovery, 12 Steps for Adult Children 1996 ed.
- ACABRB — ACoA, 『ACAフェローシップテキスト』
- CoDA — CoDA, Co-Dependents Anonymous
疑問点やご指摘などありましたら、掲示板や問い合わせフォームをご利用ください。更新情報はX(旧Twitter)でもお知らせしています。
12ステップのスタディ一覧
| 各共同体の始まり | ||
| 第1回 | AA | それはカール・ユングの診察室から始まった |
| 第2回 | 回復プログラムの本質は、エビー・Tがビル・Wに伝えたものから変わっていない | |
| 第3回 | AAの始まりについてのQ&A | |
| 第4回 | NA | NA前史:1953年にロサンゼルスでNAが始まるまで |
| 第5回 | ジミー・KたちのNAはなぜ存続・発展できたのか、それ以前の団体との違い | |
| 第6回 | NAの始まりについてのQ&A | |
| 第7回 | OA | 一人の強迫的過食の女性がギャンブラーズ・アノニマスと出会ったことが始まり |
| 第8回 | OAを世界的な団体にするという初期メンバーの夢は現実になった | |
| 第9回 | OAの始まりとそのプログラムについてのQ&A | |
| 第10回 | 性 | 五つある性の共同体のトップバッターは1976年創始のSLAA |
| 第11回 | 心理専門職や犯罪を構成する性行動の嗜癖に強みを発揮するSAAの始まり | |
| 第12回 | 禁欲的な性的ソブラエティの基準を持つSAの始まり | |
| 第13回 | 厳格な性的ソブラエティの定義に反発し、SAから分離したSCAとSRA | |
| 第14回 | 性関係の共同体に関するQ&A、SPAAについて | |
| 第15回 | 情報整理 1 共同体の成長と存続を支えるサービス機構と文献、医学と距離を取る必要性 | |
| 第16回 |
AC |
アルコホーリクの家族の病理、1974年アラノンACの始まり |
| 第17回 | 1970年代後半、トニー・AとACoAムーブメントの始まり | |
| 第18回 | 1980年代、ACA共同体の発足、共依存とAC概念の拡大と一般への浸透 | |
| 第19回 | 1990年代、ACムーブメントの崩壊、日本での展開、インナーチャイルド概念 | |
| 第20回 | アダルトチルドレン(AC)と共依存についてのQ&A | |
| ステップ1 | ||
| 第21回 | ステップ1全般 アディクションと強迫性障害には類似点がある | |
| 第22回 | AA | なぜ飲み過ぎるのか――身体的アレルギーと渇望現象 |
| 第23回 | なぜまた飲んでしまうのか――精神の強迫観念(狂気) | |
| 第24回 | 人生が手に負えない――アルコホリズムの悪影響 | |
| 第25回 | NA | アディクションはコンパルジョンとオブセッションの組み合わせである |
| 第26回 | ライフがアンマネージャブル(共感とアイデンティフケーションの違い) | |
| 第27回 | OA | OAも過食はコンパルジョンとオブセッションの組み合わせだとしている |
| 第28回 | ライフがアンマネージャブル(共依存の問題も含む) | |
| 第29回 | 性 |
SAAは性嗜癖はコンパルジョンとオブセッションの組み合わせだとしている |
| 第30回 | ライフがアンマネージャブル(ステップ1では被害者のことは取り上げない) | |
| 第31回 |
AC |
情報整理 2: ACは全員共依存者であり、共依存とは疑似アル中のことである |
| 第32回 | 両親から受け継いだもの、共依存におけるオブセッションとコンパルジョンとは | |
| 第33回 | ライフがアンマネージャブル(共依存のアンマネージャビリティ) | |
| 第34回 | ステップ1の振り返り、ミーティングメイカーとステップテイカー、普通の人には戻れない | |
| ステップ2 | ||
| 第35回 | ステップ2全般:よく分からない何かが「自分を正気に戻してくれる」ことを信じる | |
| 第36回 | AA | 信じることによって、恥の意識やこの病気に対する偏見から解放される |
ブログ連載中
掲載後半年を目安に上の一覧に移行していきます。




最近のコメント